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モーニングジュエリー(mourning jewellery)について

この美しいブローチには、髪の毛が装飾的に使用されています。日本では馴染みのないやり方ですが、アンティークジュエリーの世界では特に珍しい技法というわけではありません。

1600年代中ごろ、政情不安に揺れ動いていたイギリスで、チャールズ1世の処刑後、その治世を懐かしんだ人々の間で、彼の遺髪を編みこんだジュエリーを身に着けることが流行しました。ヨーロッパ中をペストが席巻し戦争が続くこの時代、人々の不安は、やがて明日は我が身(死を忘れるな ― MEMENTO MORI ―)という教訓を想起させる、どくろ、棺などをモチーフとしたジュエリーの流行を生み出しました。

やがて1800年代になり、髪の毛を使ったジュエリーは多様性を増して行きます。亡き人を偲んで作られる特別なジュエリーは、ヴィクトリア女王が亡きアルバート公の喪に長く服したこともあり、黒い宝飾品であるジェットとともに大流行することになりました。
上:
黒エナメルと真珠のブローチ
ダイヤモンドで忘れな草をデザイン

下:
黒エナメルと真珠のリング
裏に故人の没年月日とイニシャルが彫られている  

故人を偲んで作られたジュエリーは、主に黒いエナメルを使用したり、何らかの方法で、それと分かる細工がされていることが多い
故人を偲ぶためだけでなく、神秘性に加え、素材としての耐久性や色目の美しさを併せ持つ髪の毛を使ったジュエリー(ヘアージュエリー)を、大切な人、特別な思いを寄せる人に贈ることも頻繁に行われるようになります。自分の髪の毛を編み込んで、肖像画とともにロケットに入れて戦地の恋人に贈ったり、家族の髪の毛を少しずつ組み合わせてブローチに仕立てたり。細工専門の職人も多くいましたが、余りの人気から、簡単なものなら家庭でも作れるよう、本も発行されていたそうです。
REGARD ブローチ
ルビー/エメラルド/ガーネット/アメシスト/ルビー/ダイヤモンド
を使用して、頭文字で好意を伝えている
センチメンタルジュエリーとも呼ばれる
ヴィクトリア時代を扱った物語に、ヘアージュエリーはよく登場します。亡き母親から、一族の髪の毛を編んだブローチを託されたり(『忘れられた花園』)、姉妹の4色の髪の毛を編んだブローチを母親にプレゼントしたり(『若草物語』)。アンティークジュエリーには、裏がロケットになっていて、後から髪の毛を入れられるようになったものが多くあります。そのくらい、ファッションとしても大流行したのです。

しかし流行の過熱とともに、粗悪品も出回ったこともあり、徐々にヘアージュエリーは人気がなくなり、ヴィクトリア時代の終焉とともに姿を消すことになりました。
 

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